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コミュニティFMの送信所を市内で一番高い建物から送信してみる

皆さんは各都道府県にFM放送局が存在していることはご存知でしょうか?
関東でいえば、TOKYO FM、J-WAVE、近畿だと FM802、FM COCOLO、中京だとFM AICHI、ZIP-FMなどを想像すると思いますが、これは放送エリアが一つの都府県やその周辺など広域をカバーしています。
それに対し、コミュニティFMは、その放送局が所在している市町村1つ、またはその周辺がエリアと、都道府県域のFM放送局と比べるとすごく狭いエリアで放送されています。
狭いエリアということもあり、地域イベントやきめ細かい交通情報、鉄道運行情報などを伝えられるというメリットもあります。
その一方で、コミュニティFM局は、送信出力が最大で20W*1という制約があり、1局でカバーできるエリアというのは県域FM局の基幹送信所に比べるとかなり狭い。

現在、筆者の住んでいるさいたま市のコミュニティFM局の送信所は浦和駅近くにあり、60mくらいの高さから電波を送信しています。
2015年に送信出力を従来の3Wから20Wに増力し、周波数も地上アナログ放送を行っていた頃は、ガードバンド*2とされていた帯域に変更しました。
その甲斐もあり、今までは浦和区内という極小エリアから一気にさいたま市内全域にエリア拡大が行われました。

市内全域がエリアだからといって、実はどこ行ってもクリアに聴けるって訳でもないんです。
浦和エリアは送信所の近さもあって問題がないのですが、少し離れた大宮や岩槻エリアは、意外と聞き難いエリアというのはあるんです。

大宮駅周辺は結構ノイズが入って聞き難いです。
岩槻エリアに関しては、南部よりも離れてる北部エリアの方がノイズが非常に多いです。
一応、放送局としてはケーブルテレビによる再送信サービスも行っているのですが、岩槻エリアは対象外。*3

そうなると、岩槻エリアは無理やりでもアンテナ受信か、遅延必須のインターネット経由になってしまいます。


ある日、ふと思いついたことが... それは、市内で一番高い建物から電波送信すれば今まで以上に聴こえりあ~っ...になるんじゃない...?


今現在送信してる建物の高さは大体60mくらいである。
市内にはこれ以上高い建物はあります。
さいたま新都心にあるランド・アクシス・タワー。
上記は愛称で、正式名称は明治安田生命さいたま新都心ビルと言いますが、この建物は高さが 163.8mもあります。
埼玉県内では、川口市にあるエルザタワー55*4に次ぐ、県内で2番目に高い建物*5なんです。


今回はRadio Mobileというソフトを使い、ランド・アクシス・タワーから電波が送信されたと想定して、どこまで電波が到達するかシミュレーションしていみました。

Radio Mobileでのシミュレーション設定として、周波数は現在使われてる周波数、出力・実効輻射電力も放送免許に記載されてる数値と同じにしました。
その他にも、アンテナの向きなどがあり、実際には指向性*6がかけられているのですが、設定が面倒なので全方向にまんべんなく飛ばす設定にしました。


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Radio Mobileでシミレーション結果。
赤色エリアが安定して受信可能なエリア。
さいたま市内は全域でカバーできる一方で、周辺地域もかなり広域でカバーできることが結果として分かりました。
春日部市街の中心部や上尾市、川越市、川口市の中心部でも受信できそうです。
都内も赤羽や練馬近辺は受信できる結果になりました。
やはり、埼玉県内で第2位の高層ビルからの送信は、高さの影響もあってかなり広範囲に飛びますね。

この結果を見て、実際に送信所移転して、市内北部の受信改善してもらいたいのですが、これを実際に行うと、スピルオーバー*7が過剰に出てしまうので総務大臣の許可は下りなそうですね...。

*1:基幹放送用周波数使用計画第1項第10号

*2:放送の混信・干渉が起きないように設けられた使用されない周波数帯。このガードバンドはNHK総合テレビの音声周波数と被らせないため。

*3:さいたま市内はJ:COMさいたまがありますが、岩槻区だけはカバーされておらず、岩槻はお隣の越谷市にあるJ:COM越谷・春日部のエリアに入っているため。

*4:高さ 185.8m

*5:さいたま市内では1位、2位はお隣のさいたま新都心合同庁舎1号館 高さ 153m

*6:電波が送信される際に電波の強度が飛ばす方角によって異なること

*7:放送免許を交付した時に設定した放送エリアの外まで電波が必要以上に飛んでしまうこと。